春のハイキング   
神奈川県三浦富士 イチゴ狩り

 ある子どもとのエピソード

●お手上げ状態となる!
今回のあるエピソードですが、今年も初めてハイキングをする家族や、歩き慣れていない年少さんたちの中に、観光バスを降りてすぐにぐずり始めたり、山道に入り先(何をするのか、どこに行くのか、何が楽しいのか)が見えないことに対して、その場を楽しむことができずに泣いて動かない子どもたちがでてきました。なかには、お母さん、お父さんもお手上げ状態になることがあるのです。今回も、山道の前半で立ち止まり泣き続け、誰の話も聞くことのできない状態となってしまったため、失礼ながらも「お母さん、先に歩いて行ってください。後から追いかけますから」と先生と歩くことにしました。

●じっくり付き合おうという覚悟
とは言ってもすぐに歩くわけでもなく、目をつぶり大声を出して泣き続け、通り過ぎる多くの友達やお母さん、お父さんたちに「がんばってね」「一緒に行こうか」などと声をかけられるのですが、いっこうに泣き止むことがありませんでした。普段はとても元気な女の子でもあるため「みんな先に行っていてね、あとから行くからね」と声をかけながら、じっくり付き合おうと私も覚悟を決めてその女の子の脇に座り込みました。20分ぐらいでしょうか、必要以上に声をかけすぎないように静かに座っていました。

●“お姉さん”たちや“おじさん”に助けられる
しかし、とうとう最後の小学生チームがきてしまいました。「アメ食べようか」「一緒にいこう」という小学生の言葉に、泣き疲れたのかあきらめがついてきたのか、少しずつ“いらない”というように首を動かし始めました。私はその子の立ち直れそうな予感を感じ「お姉ちゃん、手を繋いでよ」と4年生ぐらいの卒園児女の子たちに声をかけると、さりげなく手を差し出してくれました。そして、その手をそっと握ったのです。また、ボランティアできていたおじちゃんが、ツルと葉っぱでつくった冠?を黙って頭に乗せてくれたのです。私は、彼女はその冠を嫌がるかと思ったのですが、自分の手で押さえながらゆっくりと歩きだしたのです。大粒の涙を頬に付けたままで、ほんとに可愛らしいやり取りでした。

●だから止められないのです!こんな活動が・・・
こんな、お姉さんたちの“自分たちの小さいころを思い出すかのような眼差し”にほっとするような嬉しさを感じました。そして、それからはお姉さんたちといろんな形の葉っぱを見つけながら楽しんで歩いてしまったのです。このハイキング後幼稚園では、その子からニコニコと近づいてきて「おはよう」とやって来たり、持ってきたものを一番に見せてくれたりなど、一緒に歩いたその時のさまざまな思いを共有しているかのように近づいてきてくれるのです。その関係は今でも変わらず、この先の保育をとおしてもっとつながってみたいとも感じています。



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